倉庫の意外な機能

倉庫の機能というと、どうしても保管機能や、物品の流れの中間的拠点としての側面ばかりを思い浮かべてしまいますが、ほかにも意外な機能をたくさん持っています。例えば、金融補助機能は典型的な倉庫が持つ意外な機能といっていいでしょう。

倉庫は信用あるいは、金融に関する補助的機能を持っています。物品の所有者は、通常、それを販売して引き渡してから、その品物代金を受け取ることになりますが、それでは物品を所有してから販売するまでの間、かなり多額の資金を固定化してしまうことになります。つまり、物品の所有者にとっては負担が非常に大きいことになるのです。そこで、物品の所有者は、その物品を担保として融資を受ける方法を考えなくてはならない時もあります。また、物品を販売する場合、大量の物品をその都度、移動させることも不経済でなりません。

倉庫にこれらの物品を寄託することによって、このような場合、倉庫業者の発行する倉荷証券を利用して、金融的な融資を受けることができます。また、大量の現物を移動させることなく、販売することまでも可能になるのです。こういった機能を指して、倉庫は信用あるいは金融に関する補助的役割を果たしているといえるわけです。

倉庫には物流合理化機能や販売促進も持っています。倉庫は物品の生産段階の効率化が一段と進んでいるため、それに対応して販売を促進し、消費市場を拡大させるためには、流通過程の合理化が必要です。つまり、需要者に対して、必要な物品を必要な時に、しかも、低い流通コストに抑えて提供することが販売を促進するうえから重要な要素です。このような目的を達成するために、流通加工および配送の能力を備えた倉庫に物品を一時的に保管し、そこを拠点として物流合理化を図り、販売活動を推進することが、最近よく行われています。すなわち、このような場合、営業倉庫は物品販売のための物流合理化の拠点としての役割を果たしていることになります。

倉庫は何も製品などの保管機能ばかりを果たしているわけではありません。このようなことから、倉庫はメーカーなどの企業にとって欠かせないだけでなく、経済全体の発展にも大きな寄与をしているといってもよいでしょう。